アジャイルな開発で仕事を楽しく変えていきたい

アジャイル開発

Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo 2013(1Day)に参加してきた #sgt2013


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2013年1月15日から2日間にわたって、都内で開催された「Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo 2013」に参加してきた。1日目(2013/1/15)に参加して、組織改革するために必要な3つのノウハウを習得することが出来た。

  1. 組織をコミュニティのようにして、複雑系システムや課題へ対応すること。
  2. スクラムによるアジャイルな開発では、自分達で考え型を破っていくこと。
  3. 自分たちで、継続的なカイゼン文化を築いていくこと。

ScrumAllianceRegionalGatheringTokyo2013(1Day)TimeTable

私が参加した、上図の赤枠の4つのセッションについてまとめたい。

[1A-1]Jurgen Appelo ユルゲン・アペロ “Agile Management – Learning From Software Development”

ユルゲン・アペロ氏とは

Spiral Dynamics

以下のように、時代と共に考え方や習慣に変化が起き、より複雑になってきている。

  • ベージュ:紀元前10万年…仕事はもう一日なんとか生き延びることだった
  • 紫色:紀元前5万年…仕事は部族のために自分を犠牲にすることだった
  • 赤色:紀元前7000年…仕事は他者のことを気にせず自分のやりたいことをすることだった
  • 青色:紀元前3000年から今に至るまで…仕事は中央権力に従うことだった
  • オレンジ:西暦1000年…仕事は他人の目的を邪魔することなく自分に与えられたゴールを達成することである
  • 緑色:西暦1850年…仕事はグループの調和を達成するために自分自身を犠牲にすることである
  • 黄色:西暦1940年…仕事は自分自身を表現しながらも、他人を傷つけず、助けることである
  • 青緑色:西暦1970年…新たな問いに対する答えを見つけるのが仕事である

アジャイルから得られる便益

  1. 変化するプライオリティの管理
  2. プロジェクトの可視性の向上
  3. 生産性の向上
  4. チームの士気向上
  5. Time-to-Marketの早期化
  6. ITとビジネス目標の合致
  7. 高いソフトウェア品質
  8. シンプルな開発プロセス

複雑系システムに対応するための解決案

  • Scrum
  • Kanban
  • Beyond Budgeting(脱予算管理)
  • リーンスタートアップ
  • Design Thinking

アジャイルを導入する障壁

  1. 組織の文化を変える力
  2. ちゃんとしたスキルを持った人材の確保
  3. 変化に対する一般的な抵抗
  4. マネジメントからの支援
  5. プロジェクトの複雑さ
  6. 大規模開発に適用できるか不安
  7. 顧客とのコラボレーション
  8. 移行にかかる時間
  9. 予算の制約
  10. なし
組織とは、何か?定義は難しい。企業によっては、小さなものもある。
まずい組織を延命するよりは、新しい組織を作った方がよい。悪い組織を壊すこともある。

マネジメントとは

人間に関すること。人をハッピーにすること。
マネジメントが重要であり、マネージャーが重要なのではない。管理者が必要かは、組織による。

マネジメント3.0モデル

参考資料:

質問コーナー(Q&A)

Q1.マネジメント3.0のアイデアを大企業であてはめた事例はあるか?

A1.大企業では、給料を透明にできないなど、実現できないものもあるが、自分たちで出来るところからやったことがある。変更を加えるのに、一つのチームに対して、適応する。まずはじめに組織の小さなところから実行する。自分たちで、できるところからやるのである。どこから、手を付けたらよいかは、一概に言えない。どれから、どれをあてはめていったら良いかは、組織によるので、この場では、話ができない。重要なことは、小さいステップでやることである。

Q2.いかにして、リーダーがマネージャーと関連性をもっていくか?

A2.組織の誰でも、リーダーになれる。フォロワーがいれば、リーダーである。どんな方向性でも、領域でもリーダーになれる。マネージャーは、リーダーシップをとる、ガバナンスをとる。この2つの側面がある。

Q3.人材の問題がある。すべての人をハッピーにするのは素晴らしいが、現実的には難しい。スキルがなくて、アジャイルもやりたくないし、他の手法もやりたくない人が組織の中にいる。 そのときは、どうすればよいか?

A3.組織は、仕事をもっとうまくできるように手助けするか、やめるように手助けするかのどちらかだ。最善をつくして、その人があてはまる仕事を見つけて上げることもある。その人がいることは、組織で不健全な状態。

Q4.スキルのない人が採用されないようにするにはどうすべきか?

A4.スキルではなく、マインドセットで人を雇うべきだ。トヨタの場合は、常に改善すること。ゴールは、車をつくることでない。何か新しいことを学びたい、変えたいと思っている人を採用することでより良い車ができる。姿勢や心構えを大事にして、人を雇うべきだ。

複雑系システムや課題への対応案として、組織をコミュニティのようにする。それには、人を活動的、創発的でモチベーションを高く保つために出来る限りのことをしなければならない。組織やメンバーによって、対応するアプローチが違う。ヘルシーなプラクティスを試してみて、自分たちにあったものを取り入れ、反復していき改善し続けることが重要だと感じた。

[1A-2]James O. Coplien ジム・コプリエン “Buy or Build: where did your agile come from”

認定とは

認定スクラムトレーナーでもある、ジム・コプリエン氏が、認定制度について語ってくれた。

認定に関する肯定的な意見:

  • 認定する側もされる側もお金になる。
  • 認定はよいプラクティスの普及を支援する。
  • 認定は改善を促す。

認定に関する否定的な意見:

  • 試験は将来のパフォーマンスを調べる指標としては弱い。
  • 認定授与者をだれが認定するのか?
  • 試験自体は、改善マインドを引き出せない。
  • 試験の失敗は、受講者の改善でなく、トレーナーの改善につなげるべき…

認定試験に合格することが重要なのではなく、継続して学び続けることが重要。

合気道の守破離

  • 守:先生のいうことを守ること。何も考えずにやることが守。スクラムは、守からはじめる。朝会をやる、ふりかえりをする等、型を守る。
  • 破:型を破ることである。多くの先生がいる。どの先生を選ぶのか。スクラムはどうやるのかHow?を教えてくれない。みんなで考える。技術やテクニックではない。スクラムは、考えることが大事。プラクティスが大事ではない。
  • 離:独自のスタイルを編み出すこと。スクラムは、道のりである。

認定で学べることは、スクラムを成功に導くために必要なものの、ほんの一部であるから、自分達で考えて型を破っていくことが大切。

[1F-3]Jurgen Appelo ユルゲン・アペロ “Let’s Help Melly (Changing Work Into Life)”

本セッションは、ワークショップ中心で、2つのエクササイズを行った。

複雑系の思考

  1. 複雑性で複雑性に対処する
  2. 多様な見方を使え
  3. 文脈依存を当然のことと思え
  4. 主観性と共進化
  5. 予想、適応、探索
  6. 協調してモデルをつくる
  7. フィードバックサイクルを短縮
  8. 盗んで新しいものをつくれ

<エクササイズ1>

  • 1つのテーブルに3〜5人を1グループとして構成する。
  • グループ内の全員がマネージャ役を想定。
  • ボーナスが出ることになったが、どのようにメンバーに分担すれば良いかを上記の複雑性の思考を満たしているかを確認しながら、グループで議論する。
  • 議論した結果を他のグループに共有する。

会社毎に様々な文脈がある為、議論するのに時間がかかってしまった。様々なアイデアがあって、非常に面白かった。

アジャイルゴール

  1. 一人のステークホルダーの目的ではなく、より高い目的に役立つ。
  2. SMARTだけでなく文脈に依存した基準をもつ。(SMART=specific(具体的), measurable(計測可能),attainable(達成可能),relevant(適切),time-bound(時間制約的))
  3. インセンティブとは結びつかず、外発的モチベーションもない
  4. ストーリーや隠喩によって可視化されている
  5. 頻繁に伝えられ、更新される

<エクササイズ2>

  • 来年のスクラムギャザリングのゴールを検討する。

本エクササイズも、非常に面白かった。その場では思いつかなかったが、参加者全員が同じコンテキストを持った人と寄り添い、様々な型破りを共有して、現場で取り入れられる型を持ち帰れるギャザリングにしたいと思った。例えば、Learning Patternのパターンランゲージを活用したワークショップなどがあると面白いだろう。その背景として、本ワークショップでもコンテキストが違う人と話をするのも面白いのだが、コンテキストを合わせるまでに時間がかかったり、聞きたいところが聞けなかったりすることがあったからだ。

[1F-6]James O. Coplien ジム・コプリエン “Beyond certification to Kaizen with ScrumKnowsy”

本セッションは、Scrum Knowsyを活用してワークショップを行った。Scrum Knowsyを利用するには、こちらから事前登録する必要がある。

Scrum Knowsyを活用して、スクラムのプラクティス(プロダクトバックログ、スプリントバックログ、朝会、ふりかえり等)やロール(プロダクトオーナー、スクラムマスター、チームメンバー)について、スクラムの賢者(Jeff Sutherland氏、Jim Coplien氏、Jens Ostergaard氏、Jeff McKenna氏)の考えと自分の考えの違いを確認することができる。また、スクラムの賢者内でも、それぞれの考えに違いがあることを確認できる。

私は、Jeff Sutherland氏とは、考えが驚く程一致していたが、Jim Coplien氏とは少し考えの違いが見られた。チーム内で一緒にゲームをしていったが、それぞれの考えを共有・確認しながら、それぞれのプラクティスやロールに対する思いを知ることができるので、新しいチーム作りのときには、大変良いツールになるだろう。

ワークショップでは、デジタルなゲームで学ぶのも面白いが、アナログでカードを使って学ぶのも良いだろう。スクラムには正解がないので、ときには自分たちで新しいカードを作り、実践して、継続的なカイゼン文化を築いていくことが大切。

さいごに

上記の通り、様々な学びを得ることができた。関係者の皆様、ありがとうございました。